※死ねた注意


『  』
言ってしまえば何かが変わってしまう気がして、怖かった。
今みたいに笑い合えなくなってしまう気がして…怖かったんだ。
だからお互いに意地を張って。
お互いに傲慢だから、お互いの気持ちを知っていても、それでも喧嘩したり言い合ったりした。

「なぁ」

その束の間の幸せを、
たった一言が終わらせてしまう気がして、言えなかったんだ。
言ったらもう、引き返せないから。
それに―――。

「――リタ」

俺が裏切った事によって、どうせ束の間の幸せは終わってしまうのだから。
今、彼女にそれを伝えてみろ。彼女だって辛いだけに決まってる。…裏切り者と愛し合う事なんて、彼女は絶対に拒むだろう。


リタ。
…お前は、ずるいよ。

何であんな事したんだ。


本当は前衛向きじゃないのに、無理して前衛に出て来て。
俺と剣を合わせて。

「あんたの事――好きだったのに…」

――そこからの記憶は全て朧気だ。
覚えているのは、リタの絶叫。…彼女は目を剣で刺されて後ろに倒れた。
そして刺したのは…俺。

「俺も好きだよ、リタ」

ユーリ達が走ってこちらに攻撃を仕掛け様としていた。けれどもう…遅い。
愛の呪詛を吐いて、




俺は最愛の女をこの手で殺した。




リタを刺した時の感覚が、まだ手に残って居る。…腕の中に居る冷たくなったリタは、もう何も言わない。


「リタ」

冷たくなった頬に触れた。



「好き、だ」


――もっと前にそう言っていれば。
変化を恐れずに言葉を紡いでいれば。


何か、変わっていたのだろうか…?







…どちらにせよ。
もう、叶わない願い。


彼女は死んで…いや。
俺が殺してしまったのだから。





「ごめんな、リタ」


崩れていく神殿の中で、
シュヴァーンは冷たいリタの体を、ずっと抱き締めていた―――…。



*捻れた愛し方






08-08.13

vsシュヴァーン戦。
シュヴァーンが勝ってたならこうなってたんじゃないっていうるなの妄想です(ぁ)



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