次の街へはまだ大分距離がある。
街へ向かう途中の道のり、一行は川岸で休んでいた。


「リタっちー」

恐らく木陰で本を読んでいるであろうリタに、レイヴンが軽薄な笑みを浮かべながら近づいた。――彼はリタの姿を見るが、呆然と立ち尽くす。
それに気付いたユーリが、レイヴンの側に寄った。

「どうかしたか?」

近付いてきたユーリはリタの方を見――そう言う事かと納得した顔を見せた。


「…寝てるな」
「……だよねぇ」

木陰の下。
リタは木に凭れ掛かりながら、すやすやと寝息を立てて眠っていた。
膝の下には開いた本が置いて在る辺り、本を読んでいる間に寝てしまったのだろう。


「…リタっち、疲れてるのかね」
「多分な」

彼女の頭を優しく撫でるレイヴンの問いに肯定の返事を返した。
この頃リタには迷惑を掛けてばかりだった気はした。…やはり、疲れているのだろう。

考え事をしながら不意に中年男の方を見ると、男はリタの唇に唇を重ねる寸前だった。
…気づいたら手が無意識の内に動く。
振り上げた手はレイヴンの頭を強く殴っていた。

「いったー!!何すんのよ青年!!」
「抜け駆けかよ、おっさん」
「リタっちが可愛いのがいけないでしょ!」

…確かに、リタの寝顔は滅多に見れないだけ有って可愛らしいとは思う。
近付き、頬に手を当て――もう片方の頬に優しく唇を落とした。

「ちょ!青年こそ抜け駆けじゃない!!」
「おっさんだってしようとしたじゃねーか」
「おっさんは未遂何だけど!!!」
「じゃあそのまま未遂で居てくれ」

「あらあら、2人共楽しそうねぇ」

レイヴンと言い争いをしていると――不意に落ち着いた声が聞こえた。
思わず声のした方を振り向く。…そこには不敵な笑みを浮かべるジュディスの姿が合った。
彼女はにっこりと笑って言葉を続ける。

「でも、余り大きな声は出しちゃだめよ。
リタが起きちゃうから」

ジュディスはそう言ってリタの頭を優しく撫でた。そんな彼女の横から、ラピードが飛び出して来る。
ラピードはリタの隣に腰を下ろした。
…おっさんに尻尾を向けて座っている辺り、男に敵意を剥き出している様だ。そんなラピードの態度に中年男はしょんぼりとした顔を見せた。

「どうかしましたの?」
「レイヴンとユーリが争ってる声が聞こえたんですが…」

川岸に居たエステルとカロルが近付いて来る。…まてよ。じゃあ今、此処には全員が集合しているのか?!


エステルはリタの顔を覗き込むと、ちょっとだけ驚いた顔をしたがにっこりと笑った。そんなエステルに釣られてカロルも彼女を覗き込む。

「リタ…寝てるの?」
「…多分な」

それぞれの顔を確認しながら頷いた。ああ、やっぱり全員此処に集合してやがる。
頭を掻くとジュディスがくすりと笑った。どうやら彼女には自分の考えている事がお見通しの様だ。
何も知らずにぐっすりと眠るリタは、少しだけ微笑んでいる様にも見えた――。



*僕等は君を永遠に愛す


旧サイト20000HITリクのリタ総受。
本当は途中でリタを起こそうと思ったんだけどどんどん面倒な方向に行きそうだったから止めた(あほ過ぎる


08-09,14



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