無意識の内にその手は動いていて。
全てにおいてが愛おしい彼女を、両手で力強く抱き締めた。

「ちょ、何よいきなり」
いきなり抱き締められた彼女が、困惑した顔を見せる。…愛おしい。
困惑の顔色をした頬に唇を落とした。
途端に彼女は顔を真っ赤にして、凄い形相で此方を睨んでくる。

「何すんのよっ!!」

照れている所為か声が裏返っていた。本気で愛おしい。
理由もなく込み上げてくる愛が、胸の奥で高鳴っている。

――でもそれはきっと彼女も一緒だろう。


「愛してる、リタ」
耳元で囁いた。
彼女は赤い顔を更に真っ赤にして、俯いてしまう。
抱き締める力が余計強くなった。ああこの少女はどうしてこんなにも華奢で可愛らしいのだろう。


「何処にも行っちゃやーよ」

俺だけのリタ・モルディオで居て。
するとリタが顔を上げる。
真っ赤な顔で此方から目を反らしながら、それでも時々此方を見ながら言った。


「あんたこそ…勝手に…居なく、なんないでよ……」

「…了解しました、お姫様」


ふざけて見るとリタが眉間に皺を寄せながら殴って来た。
腕から解放すると、恥ずかしいのか何なのか。彼女は走り去って行く。
遠ざかる彼女を見ながら、少しだけ微笑んだ。






(その後ろ姿まで愛おしい)



*跪いて、愛の誓いを



08-09.30



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