※パスカルとマリクは恋人設定。因みにパスカル視点。
※時期→フェンデル以降なら何処でも



あの日の告白も、今回の言い出しも、全部全部教官からだった。
「少し距離を置かないか」
「…どーいうこと?」
フェンデルに着いてから教官の様子が可笑しい事は気付いてたけど、それとこれとでは話が違う。
距離を置くってどういう事?真っ白になった頭で必死に平静を装いながら首を傾げれば、教官は辛そうに顔を背けた。

「…すまない、」
「……すまないって…説明してくんなきゃわかんないよ」

距離を置く=別れる。そんなのあたしでも分かる事だった。
目を合わせようともしない教官の腕を掴み、涙目になりながら彼の体を揺らす。
「やだよ。あたし、教官の傍に居たい」
「…駄目なんだ、パスカル」
「だから…何で?」
問い掛ければ、教官は決まって罰が悪そうな顔で黙ってしまう。
何で。どうして駄目なの。
あたしが教官と釣り合わない様な女の子だから?
頬を雫が伝う。

――その涙を拭った教官が、あたしの体を抱きしめる。両手が震えていた。


「…俺じゃ、お前を幸せには出来ない」
「……」
温もりを感じられる最後の時間だろうと、薄々気付いてた。
その胸板に体を埋め、離れたくないが為に背中に手を回す。



教官がこの選択肢を選ぶことを、ホントは何処かで気付いてた。
告白して来たのは教官だったけど、その告白に裏心が有る事を静かに正しく見抜いていた。
だって教官には――

「――フェンデルに来てから、お前とロベリアとずっと間違えるんだ…」


大切な女の人が居たんだから。



*グッバイ、ファーストラブ
(それでも教官と付き合うことを決めたのは、あたしも教官が好きだったからだよ)



10-04,08




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