※何気にED後設定



各地で癒しの力を使い人々を癒していたシェリアが、突然家に引きこもってしまった。
それを知ったアスベルがシェリアの家に訪ねると、彼女は沈んだ顔をして家の中にアスベルを入れる。
ずっと泣いていたのだろうか。目の周りが真っ赤に腫れあがっているのが印象的だった。

「…大丈夫、か?」
まさか此処まで酷い状況だとは。
予想以上のシェリアの容態に、アスベルはあたり障りの無い質疑しか出来なかった。
シェリアは彼の問いに対し無理に笑顔を作り、大丈夫と微笑む。
「……もう、活動はしないのか?」
「…当分は……止めとこうかな、って思って…」
そう言って俯いてしまったシェリアに、何か言わなくてはとアスベルが思考を働かせる。
だが見つかる言葉は全て機械的な言葉で、全て今のシェリアには逆効果なんじゃないだろうかと思う励ましばかりだった。

「…なあ。一体どうしたんだ?」
だから、結局アスベルは一番気になっていた事を質問した。
黙ったままのシェリアに、アスベルは言葉を詰まらせながらもぽつり、ぽつりと喋り続ける。
「俺で良ければ、相談にも乗るし…さ。…心配なんだ、シェリアの事」
アスベルが真っ直ぐに彼女を見つめると、シェリアが少しだけ顔を上げた。

「……先日ね、」
ぽつりとシェリアが呟いた言葉に、アスベルはもしや話してくれるのか。と期待した。
「おじいちゃんが歌歌ってたんだけど、歌詞がめちゃくちゃなの」

(…はぐらかされた?)
アスベルの質問は流されてしまったみたいだ。
苦笑したが無理に話を戻してもシェリアが嫌な思いをするだけだろう。アスベルはそのまま彼女の話を聞く事にした。

「可笑しくて笑っちゃった。ええとね…確か、
もーりたろちゃん もーたろどん」
どうでも良い話かと聞き流そうと思っていたアスベルは、フレデリックが歌っていたという間違った歌の歌詞が余りにも矛盾していた為、ぷっと吹き
出してしまった。
「なんだよそれ、いきなり違うじゃないか」
笑いを堪えるのに必死で居ると、シェリアは歌詞の続きを歌い出す。
「おにしにつけたー おびかんごー」
「意味分からないな…」
一体フレデリックは何の歌と間違えているのだろう。
歌っている歌は「もも太郎の歌」で間違いないと思うが…。
「ひさつー れたしに くださいたー」
「元が何の歌だかわからない人が出てきそうだな。パスカルとか」
「ふふ、そうね」
そう言って微笑むシェリアの表情から、少し毒素が抜けている。嫌な事を少しでも忘れられたのだろうか。
アスベルは安心し、彼女に優しく微笑んだ。



*隠されたSOS



10-04,26


*解説(反転)
歌詞の間違った部分を抜き出すと
「りちゃーど に おかされた」




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