※ED後想像



パスカルに会いに行ってくれないかと、ヒューバートがマリクに頼まれたのは数時間前の話だった。
何でも彼女は大紅蓮石の工事設計図を見直したいからと言ってアンマルチアの里に持って帰ってしまったらしい。マリクを始めとする工事関係者は
その設計図が無くて大変困っている様だ。
唯マリクは指揮官としてやらなければ成らない仕事が残されている。
そこで偶然手が開いていたヒューバートがアンマルチアの里に居るパスカルに会いに行く事になったのだ。

里までは亀車などを使い辿り着く事が出来たのだが、ヒューバートはパスカルの居場所が分からない。
前に訪れたことのあるパスカルの家に行ってみたが、そこにパスカルの姿は無かった。

(何処に行ったんでしょうか…)
まさかすれ違ってしまったのだろうか。
それだけは遭って欲しく無いと願いながら、近くを通り掛かったアンマルチアの女性を呼び止めた。

「すいません。パスカルさんって何処に居るか分かりませんか?」
呼び止めた女性に問い掛ける。
すると何故か女性は肩を震わせくくっと笑った。

え、と思った瞬間。女性が踵を返して振り返る。


「あたしは此処だよ?弟君!」

「ぱ、パスカルさん?!」

開いた口が閉じれないとはこういう状況を言うのだろう。
シェリアが着そうな女の子らしい服を来て可愛らしく髪を結った女性は、間違いなくパスカルだった。
彼は本人にパスカルの居場所を聞いてしまっていたのだ。
先程パスカルが笑った意味もヒューバートは漸く理解した。

「あたしってわかんなかった?」
「…分かる筈無いでしょう」
他のアンマルチアの人も同じ様な髪色だから髪色で判別する事は出来ず、尚且つ後ろ姿だけでは全くの別人だった。第一あのパスカルがこんな
女の子らしい姿をするなど誰が思うだろうか。

「…どうしてそんな格好を?」
そもそもパスカルと分からなかったのは見違える程変わったその姿に有る。
ヒューバートが問い掛ければパスカルはそれがさぁ、と半ば愚痴口調で話を始めた。
「里に帰って来たら、お姉ちゃんが偶には女の子らしい格好をしなさいって言ってきて…無理矢理お風呂に入れられて、髪まで弄られたって訳。今
着てるのもポアソンの服だしさぁ」
成る程、全ては彼女の姉妹が仕組んだ事だったのか。納得した。

「…似合わない?」
不安そうに小首を傾げるパスカルに、ヒューバートの胸の鼓動が可笑しくなったのは言うまでもない。
「そ、そんなこと有りません。……かわいい、ですよ」
「ホントに?」
ヒューバートの言葉にパスカルはとびきりの笑顔を浮かべ、喜んだ。



*麗しい君
(はしゃぐ姿まで可愛らしい)





10-03,31




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