ぼんやりと窓の外を見上げている退屈そうなラクシュリに、エクサは近付き肩を叩いた。
振り向いた彼が首を傾げたた同時に、エクサは手に持っていた小袋を手渡す。

「何これ?」
予想通りの言葉に、エクサは苦笑した。
一呼吸置き、男はラクシュリの右腕の人差し指に嵌められた指輪を指す。
「それ、壊れてたから」
「へ?」
エクサの指摘で初めて気付いたらしい。
慌てて彼が右指を見つめ、数秒の間を空けた後にああと溜息混じりに声を吐いた。
だがそれも束の間。左手に持つ小袋の中身を察したラクシュリが顔をあげる。


「貰っていーの?」
「ああ」
頷くとラクシュリは飛び上がりながら壊れた指輪を外した。外された指輪は中央の装飾された宝石に皹が入り、銀鍍金を少しだけ開けさせている。
歪に壊れた指輪は普段の戦闘の物激しさを語っていた。
彼は直ぐに小袋を開き、中に繕われていたガーネットの嵌められた指輪を取り出し、それを開いた人差し指に被せる。
「お、ぴったり」
指のサイズは適当に決めたが間違っていなかったみたいだ。安堵したエクサが喜ぶラクシュリに言葉を投げる。



「俺の趣味で悪いな」
「いや全然」

寧ろ嬉しいと微笑んだ彼は元嵌めていた指輪を小袋に入れた。捨てるのは勿体ないと思ったみたいだ。
それをポケットの中へ捩込み、ラクシュリはエクサに向けて満面の笑顔を浮かべた。
その指にガーネットを輝かせて。



◎ピアニッシモ×メッセージ
(気付いて届いて、小さな気持ち)






10-08,25


ガーネットの宝石言葉は持ち主への変わらぬ愛情です。いやん。





Back