※どうみても微裏
※ある意味病んでますがな

※エクサ視点







ラクシュリを庇って腕に傷を負ったのは、宿屋に到着するほんの数分前の出来事だ。
深い傷では無いが念の為とアンジェリカに包帯を手渡され、包帯で止血した腕を眺めて部屋でぼんやりとしていれば、傷を気にしたラクシュリが顔
を覗かせる。
彼は無言で部屋に入り、隣に腰を下ろした。そして右腕に巻かれた包帯を見、何か言いた気に唇を動かす。
その唇がごめんと呟いた気がして、彼の頭を優しく撫でた。
「気にしなくていい。大した傷じゃない」
人血だって今は止まっている。この程度なら唯のかすり傷だ。
そう言って微笑んだが、ラクシュリはまだ浮かない表情をしていた。
恐らく傷の心配と言うより――自分を庇って出来た傷ということを気にしているのだろう。
思い詰めた顔のラクシュリを抱きしめ、華奢な胴部に手を回した。
俺より身長は高いのに細いんだよなぁ。
心で呟きながら、透き通った撫で髪に指を絡ませる。


「…キミを守るのが僕の役目なんだ」

矢庭に、ラクシュリがぽつりと呟いた。


「でも…結局キミに守られてばかりだ」

やっぱり、気にしていたのはそこか。
無意識に引き寄せる力が強くなる。

「……俺だってお前が傷付くのは嫌だ」
お前が俺を守りたいと思う気持ちは分かる。俺も同じだから。


依存した関係。愛し過ぎて辛い時はどうすれば良いのだろう。
俯くラクシュリの顎を持ち上げ唇を当てれば、求める様に彼が俺の頸の裏に腕を回した。
これ以上は理性が壊れると思い唇と肩を離すが、哀愁の瞳で俺を見つめたラクシュリが自ら俺の腕に飛び込んできた。
幼子の様にしがみついて離れようとしないラクシュリに、浮かぶのは忌みでは無く愛しさだ。

狂おしい程、キミを愛している。

傷痕に被せられた包帯を歯を使って解きながら、片手で彼を抱きしめた。
無言で露出した傷痕をラクシュリに見せると、意図を読み取った彼が腕から離れ、傷痕に顔を近付ける。
こんな浅いかすり傷など、アンジェリカや俺の治癒-ヒール-で治すことも出来た。
けど敢えてそうしなかったのだ。
ラクシュリを責める為では無いが…いや。ある意味そうかもしれない。
腕に唇を下ろしたラクシュリが、塞がりつつある傷痕を生めかしく舌でなぞる。
「……ん…」
何度か往復して傷を舐めるラクシュリは、何かに執着している様にも見えた。
少なくとも俺はキミ依存症だ。
他の誰にも渡したくない。俺だけのキミで居てほしい。
こんな顔を見せるのは俺だけで十分だ、と。心から本気で思う俺の愛は歪なエゴイズムの塊なのだろうか。
「…もう、止めていい?」
顔を上げたラクシュリが問い掛けて来た。上目遣いに俺を見上げる彼は何故こんなにも恩愛なのだろう。
ああと頷き、唇を傷から離したラクシュリに再び唇を押し当てる。
「…っ……ふ…」
今度は楽には離さない。舌を絡め、苦しみ喘ぐ彼を満たされるまで悦楽する。
「ん…ぐ……」
苦虫を潰した様な顔で一滴の落涙を零したラクシュリから、唇を離した。
噎せながら荒い呼吸を繰り返すラクシュリの唇に、今度は指を捩込む。
「んぐ…っ…」
声を上げたラクシュリの咥内で指を動かし、奥へ奥へと動いて行った。
苦しそうな声を上げ唇の端から唾液を零す彼がこんなにも愛おしい。
曲がった愛で構わない。俺がラクシュリを愛していることに変わりは無いのだから。

「げほっ…!」
余程苦しかったのだろう。普段なら反抗しないラクシュリが自ら俺の指を引き抜き、何度も咳込んだ。
やり過ぎたかと反省し、背中を軽く摩ってやる。
「すまない」
少しだけ首を横に振ったラクシュリが、呼吸の整わない内にまた俺の胸板へ顔を押し付けてくる。
…そういう事をするから俺だって理性が壊れていくんだ。


次に理性が爆ぜたら何をしてしまうかわからない。ラクシュリを離そうとしたら、ぽつりと彼が呟いた。

「…悪いと思ったなら、暫くこのままで…居させろ……」


……相手に狂気な程依存してるのは俺だけではないらしい。
微笑しながら頷き、ラクシュリの細い体を抱きしめた。



◎キミ依存症
(おしい程、キミがき)




10-09,01


恥ずかしいSSしか書けないです。頭が病気です。



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