※旧サイト8000HIT小説(これ以上愛しさが降り積もる前に、)の続き



何故あんな事をしたのだろう。
怯えた瞳で此方を見る、震える彼女が忘れられない。
土砂降りの雨の中で、傘もささずに街をふらつきながらレイヴンは思った。
この位の雨の方が、頭を冷やすのに丁度良い。だから他人にどんな目で見られようとふらふらと街を歩いた。
路地裏に差し掛かって、雨で震える猫を見つけた。…まるで先程のあの子の様だ。
手を伸ばすが、猫は走り去ってしまった。…ま、当たり前か。
立ち上がろうとして。


―――雨が、止んだ。


…いや、違う。
傘が雨を凌いでるんだ。
…目の前には息を切らしたリタが立っていた。…なんで、お前が?

「馬鹿、風邪引くわよ」
まるで初めから何も無かったかの様にリタが言った。…ああでも、きっとユーリに励まされたのだろうな。そう考えると胸に靄が出来る。

「何で来た?」
リタに問い掛けた。…彼女はちょっとだけ俯きがちに呟く。

「…心配、だったから」

「……そうか」

…隠さなくても良いのに。
ユーリに言われたから迎えに来た。そう言ってくれた方が楽だった。
立ち上がり、その場を歩き出すとリタが傘を持ちながら付いてきた。
持ちにくそうだったので、彼女の代わりに傘を持つ。…少しだけ濡れた体のリタが、ずっと下を向いて俯いていた。

歩くと時々擦れ合う手が、小さくて儚い。
虚空を見上げた。雨はまだ降り続いている。止む気配も無い。



いっそ、この雨が全部洗い流してくれればいいのに。
彼女に抱いた気持ちも、
彼女にしてしまった事も、
自分の存在さえも。



宿屋に着くまで、リタとは一言もかわさなかった。



*いっそ何もかも忘れて、無に帰りたい


何かうちのレイリタって他の素敵サイト様と比べて飛び抜けて病んでるなぁ←←



筆記日不明



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