※「そうして俺達は、無意味に傷つけ合う」の続き
※当サイト最大のご乱心リタっち視点。



扉が閉まる音を最後に、部屋は無音に満ち溢れた。
深緑の瞳が空気に触れる。

「あたし、は」

きっと、此処に居てはいけない存在なんだ。
ユーリとレイヴンが争った理由だって自分の所為だった。…あたしが居なければ、きっとこんな事にはならなかったのに……。

ふらつく足で地面に立つ。視界がぼやけてる。気持ち悪い…。
それでも、此処には居てはいけない気がしてならなかった。
耳鳴りがする。煩い…もう止めて……。
レイヴンとユーリの喧嘩の声も、耳から離れてくれない。延々と頭の中を駆け巡っている。
あたしの所為だ。
あたしが、ユーリとレイヴンを喧嘩させてしまった。

あたしはやっぱり、最初から要らない子だった。



壁に手を付きながら扉まで歩き、廊下に足音が聞こえないのを確認して、扉を開けた。
廊下は静まり返っている。レイヴンもユーリも外出しているみたいだ。他の皆も居ない。
ふらつく足でゆっくりと歩く。
途中で力が抜けて座り込んでしまった。
視界が、二重どころか三重に見える。
目の前の物さえ認識出来ない。頭が痛い…。

「…うぅ……」

泣くことしか出来ない非力な自分。――もう嫌だ。
大嫌い。
あたし自身が、あたしは大嫌い。

おぼつかない足で立ち上がり、無理矢理にでも歩く。
そのまま、宿を出て街の外に向かった。――誰とも合わない為に、路地裏を使って上手く外まで足を動かす。
外まで出て少ししたら、足がぐらついてまた座り込んでしまった。



空はどんよりとしている。…今にも雨が振り出しそうだ。


あたし、何してるんだろう。
何でこうなったんだろう。
何で――…。
考えてると頭が痛くなった。草村に倒れ込む。気持ち悪い…。草村の上に何度か吐いた。



視界が滲む。
嘔吐物の上に雫が落ちた。
それが降りだした雨なのか、あたしの涙なのか、あたしには分からない――…。






(だれか、あたしをころして)





*私はきっと、此処に居てはいけない存在


どうしてこうなったとしか言いようがない。
因みにリタは前の話のユーリとレイヴンの会話を全部まるまる聞いてました。なんてこったい。


08-09.21



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