※判定が微妙なエクラク多分微裏

※[コケティッシュ*ワルツ]の続き。
※ラクシュリ視点







エクサはこの世で1番の馬鹿だ。
全部、彼の自業自得だ。

――先日、僕は熱を出して宿のベッドに突っ伏した。
相部屋だったエクサは、最初こそまともな看病をしていたが、徐々に行動はエスカレートし一線を…越えては居ないが越える勢いで俺に猥褻な行
動を仕掛けてきた。
熱の所為も合って抵抗出来ず、あの時は成す術なく行為を受け入れたが。

エクサは僕が病人だってことを忘れていたのではないか?

病人にあんな至近距離でくっついて、舐めるだの抱きしめるだのをすれば、熱が移るに決まっている。


そう。昨日になってエクサは熱を出した。
アンジェリカやシーラちゃんには内緒だが、僕はその理由を痛感している。
僕の熱がエクサに移ったんだ。それ以外考えられなかった。



「よお、馬鹿エクサ」
「…ラクシュリ」

エクサの居る部屋を訪れる。
そこには数日前の僕の様な顔をしたエクサがベッドに横たわっていた。

「御機嫌如何が?」
「…頭が痛いんだ。少し静かにしてくれ」
エクサはそう言ってそっぽを向いてしまった。
…へえ。
僕が寝込んだ時は頭が痛いと言ってもあんな艶めかしいことをしといて、よくそんな事が言えるな。
そっぽを向いたエクサに近付き、彼の肩を無理矢理手前に引いた。
こちらに顔を見せたエクサに、触れるだけの軽いキスをする。
エクサの表情が、瞬時に驚いた面に変わった。
「あの時のお返し」
耳の傍で囁き、悪戯な笑みを浮かべる。
ざまあみろ。あんな卑猥な事をしてくれたキミへの仕返しだ。
そのまま部屋を出て行こうと踵を返す。
…が、何故か前に歩き出せなかった。

見ると、僕の腕をエクサがしっかり掴んでいる。
…ヤバい。
唇を噛んだ途端、エクサの腕力で僕は床に足を付けた。
熱を出しても腕力は変わらないのか、と。そんな馬鹿な事を考えていた刹那、エクサはベッドから起き上がり僕の首に頭を近付ける。
何時かの出来事がフラッシュバックしたと思えば、首筋に走ったのは痛みだった。
「…っ!」
針で刺された様な痛みに体が痙攣する。
噛まれたんだ。エクサに。
直ぐに何しやがると叫ぼうとすれば、唇の中にエクサの指が入ってきた。
普段よりずっと奥まで指が入り、苦しみに顔を歪めるとエクサがぼそりと呟く。

「…声を出すな」
噛まれた場所がずきずきと傷む。
エクサはその上から舌を這わせて来た。
「……!!」
言葉にならない悲鳴も、喉奥に詰められた指によって掻き消される。
「…ふ……ぅ…っ…」
舌で押し返そうとするのだが、エクサが指を抜いてくれることは無かった。
そればかりか咥内に入った三本の指は中で暴れ初め、訳が分からない状態に息さえも苦しくなる。
「…んぐ…っ……ふ…っ…」
唇から滴り落ちる唾液を、首から舌を離したエクサがその舌で掬い上げた。
それが済むと漸く指を引き抜かれ、苦しみに何度も何度も咳込む。
「…ごほ……っ!!」
「……ラクシュリ」
エクサの顔が見れなかった。
唯、苦しさと辛さを押し出す様に咳を繰り返していれば、エクサは僕に言葉を投げる。
「…余り俺を誘うな」
誘う…?誘った覚えなど――…。
…いや、あのキスのことか。
唇を噛み締めていると、不意にエクサがベッドに崩れた。


「エクサ…!」

ああ、そういえばこいつ病人だ。病人の辛さは元病人が死ぬ程分かっている。
とにかくタオルを冷やしに行こうと立ち上がった瞬間、先程までの力が嘘の様に、弱々しい力でエクサが僕の腕を掴む。
「…ここに居ろ…ラクシュリ……」
「……」
暫しの沈黙。
――後に僕は微笑する。

「…あいよ」

近くの椅子に座り、僕はエクサの要望通り傍に居る事にした。





*Re;コケティッシュ*ワルツ
(貴方のベーゼはどんな味?)



10-08,18





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