※病んでますがな
※ラクシュリ視点みたいだよ!






エクサは強い。それは初めて合った日から頻りに思っていた事だ。
そして彼は優しい。
強い人間は優しくなければいけないと僕は何時か彼に言ったけれど、そんな忠告をせずとも彼は強くて懇篤な人間だった。

だから僕は同時に思うんだ。
完全な悪が居ないなら、完全な善も居ない。僕もアンジェリカもエクサもそれは一緒だ。
だから、もしキミが何処かで無理をし続けていたとして。
無理に振る舞った善の部分だけ、キミが心に圧力を溜め込んでいたのなら。


それが爆ぜた時、キミはどうなってしまうのだろう、と。







「……かは…っ…」
どうしてこうなったのか。
揺れる意識と滲む視界の中で、思う。
ああ、そうだ。エクサと少し喧嘩をしたんだ。
キミが余りにらしくない弱音を吐くモノだから、僕もらしくない取り乱し方で、キミに激烈の言葉を投げた。
熱くなりすぎて何を言ったか覚えてないけれど、僕の言った言葉の中に彼の虫酸が走る様な発言が合ったのは間違い無い。
掴み掛かって来たエクサが壁に僕を叩き付け、重圧を押し付ける様に僕の首を両手で絞め揚げた。

僕は何時もキミに対しての不安を拭えなかった。
勇者の右腕として、これでもキミの事は常々気にかけていたのだ。
キミが勇者というプレッシャーと、優しさという重圧に潰されない様に。


キミが僕を縊る事に、安堵している僕が居る。
それでいい。
人間らしいキミでいいんだ。せめて仲間の僕等の前では、優しさという圧力を捨ててくれ。
そしてもしこんな僕の命1つでキミの背負う善意という重圧が軽くなるのなら、喜んで差し出してやる。
僕はキミの、捨てゴマだ。

「…っ……」
酸欠による眩暈で、エクサの顔は良く見えない。
見ない方が良いか。
苦笑を浮かべたと同時、滲んだ視界が歪に歪んだ。

意識を手放そうとした瞬間、エクサの指が瞬時に僕の首から離れる。
足がふらつき、床に足を付こうとすればエクサが僕の体を抱えて来た。
「ラクシュリ!!」
――遠目に見えるエクサの表情は、正気に戻っていた。
「ごほ…っ…」
自由になった喉で深呼吸を繰り返す。
エクサは僕の体を抱えながら、何度も心配そうに背中を摩ってくれた。
「すまない!俺は――…」
「……へー、き…へーき…」
上辺で笑顔を作るが、正直苦しい。立っているのもやっとだ。
エクサの元から無理に離れ、ベッドに倒れた。
酸欠による目眩を早く治そうと呼吸を繰り返していれば、エクサが心配気に駆け寄って来る。
「…気に、すんなよ……」
キミだって人間だ。
溜め込んだ怒りや悲しみのはけ口だって必要なのだ。それが僕なら尚更良い。僕はキミの力になりたいんだ。


静かに瞼を閉じれば、エクサが頭を撫でて来た。
整った呼吸を繰り返しながら、思う。

どうかキミ自身が壊れてしまう前に、僕をはけ口にして。
キミの為に死ねるのなら。
‘右腕’として、それもアリなのかもしれない―――。



哀毀骨立-Lakshry Side-







10-08,30


エクラクは依存愛だと思ってる。お互いに依存しすぎて離れられないみたいな。


エクサ視点があります→[哀毀骨立-Exa Side-]



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