※ラクシュリ視点
※やや抉い




エクサを追い掛け森へ入ったのは良いが、なかなか彼が見つからない。
不安は疑心に変わり、焦りは緊張感へ変化する。
エクサ。どうか無事で。
そうして森の広い空間に出ると、


血溜まりの中にエクサが倒れて居た。

「――エクサ!!」

慌てて彼を抱き起こす。
何度も肩を揺さぶったが、彼が目を覚ます事は無かった。
どうしてこんな事に――…。
落涙が彼の頬に落ちた矢庭、殺気を感じ僕は立ち上がった。
…何処に居る?
とにかく、早く敵を倒して街に行かなくては。僕は回復術を使えないし、それを使えるアンジェリカも生憎今は傍に居ない。
剣の柄を強く握り締める。

――刹那。風が揺れたと思えば、僕の腹を貫通する攻撃が合った。

「――っつ…!!」

悲鳴にすら成らない激痛に膝を付く。
ヤバい、頭にそれが過ぎった瞬間、僕に飛び付く影が合った。
倒れた僕の横で下品な笑みを浮かべるのは昼間倒したとばかり思っていたモンスターだ。嘘だろう。こいつ、こんなに強かったのか…?!
舌なめずりをした獣は傷で動けぬ僕の腹に、牙を刺した。
「ぐっ…!!」
鈍痛が僕を襲う。
牙を突き立てた魔物は、内部に刺さった牙で内蔵を掻き回し、腸を引き裂いた。
「あぁあああっ…!!!」
痛い…!!
叫びを揚げたと同時に、込み上げて来る吐気に酷く咳込む。
唇から血の塊が吐き出され、鉄の味が喉を潤した。
突き立てた牙を勢いよく引き抜いた獣は、痛みに悶える僕の足に、続いて牙を突き立てる。


「い゛っ…!!!」

じゅくじゅくと、骨をしゃぶる嫌な音。
ああ、食われてるのか。
理解は何故か僕を冷静にさせた。
僕は死ぬのか。こんな辺境な地で。エクサを守れずに。

鈍痛は続く。
頬に飛び散った血飛沫は多分僕自身のだ。


沈んでいく意識。
――最期に見たのは悪魔の笑みを浮かべる魔物だった……。



06*レーキの世界に終焉を



10-08,20

レーキ=赤色


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